すべては現地調査から
不動産コンサルティングの核となる業務は、不動産自体のポテンシャルや地域性のほか、土地所有者の思いや考え方から見えてくる土地有効利用の目標・目的(コンセプト)を探索・策定し、実際にこの土地で、どのように具現化するかを企画としてご提案する事です。
また、不動産の有効利用の企画を立案するに際し、まずは現地に何度も足を運んで現地調査を行い、行政、官庁等に行き、不動産の権利関係や法令関係を確認、調査を行います。
現地調査は、対象となる土地やその地域に関する情報を集めて、その場所が持っているポテンシャルを分析し、どのような事業に適しているかを分析します。
不動産コンサルティング依頼
「低稼働のアパートを何とかしたい」
「もう歳なので相続税に対する対策もしておきたい」
大きな収益増を生み出した提案
お客様のアパート・不動産賃貸の稼働状況が芳しくないので、相続税対策も含めた不動産の有効利用に関する助言や、提案をして欲しいというご相談を受けたのが始まりでした。
不動産の現地調査を行った結果、土地が不整形であること、周辺にはワンルームマンション、ホテル、オフィスビルなど容積率を活用し、高度利用されている物件が多数存在するにもかかわらず、現状は築年数の古い賃貸アパート、月極駐車場、コインパーキングとして利用されているだけで、うまく有効利用されていないことが分かりました。その一方で、お客様がお持ちの不動産を含む地域は、観光振興地域であり、インバウンド向けのニーズもあるという点で魅力ある場所でした。また、都心部であるため、オフィス、住居、飲食店等の複数のニーズもあり、実際に本来の用途から利用用途が変更された建物が多数ある事も分かりました。
不動産の敷地部分の広さ(面積)や用途地域の指定に応じて、どの程度の規模の建物が建築可能かを把握するとともに、接する道路の幅員や各種県、市の条例規制、埋蔵文化財の包蔵地の調査及び調査方法に関する調査、及び土壌汚染の可能性等、実際に建物を建築するために必要な条件の調査を行いました。
また、自社ネットワークを通じ、この土地及び周辺に関するあらゆる情報を収集し、その過程で複数のホテル事業者が、お客様の所有する不動産の北側に隣接する空地(売却中)にカプセルホテル(ホステル)の建築を検討している情報を入手。
調査や知り得た情報を踏まえ、観光振興地域という利点を活かし、インバウンドにも対応できる建物を作ることが、この土地を高度利用することが出来、ひいては将来のこの地域の活性化に繋がると考え、今回の不動産の有効利用は「ホテル開発」が大きな鍵になると考えるに至りました。
上記を踏まえ不動産有効利用に関するコンサルティングにおいて、お客様の思い、考え方、目標等を探るため、ブレインストーミング(解決方法の模索)の一環として複数の企画提案を行いました。
考慮すべき要素を確定
土地の等価交換手法を用いて売却中の北側隣接地、近隣地を取りまとめて土地の一部を一団の土地としてホテル事業者に賃貸するという企画です。
※この企画には、土地の等価交換手法を用いて、敷地の再配置で不整形な土地を是正して高度利用しやすくすることにより、資産価値を上げるという効果も期待できます。
これらのブレストーミング的提案を通じて、お客様の目的・目標を具体化する際に考慮すべき要素を確定しました。
具体的には複雑なスキームを好まないお客様の性質や、負債を抱えるリスク、関係者間のトラブルのリスクを極力回避しつつ、安定した収入を得たいというお客様の本音や考え方を把握できました。
所有する不動産のみを対象とし、投資を最小限に抑えるという考えの下、新たな企画提案を行いました。
幅広く利用・転用可能なハイブリッド運営できる建築物を企画
次に不動産事業を次世代の家業としたいという後継者の息子さんの希望もあり、お客様が所有する土地に、低層住宅を核とし、店舗・飲食・オフィス・簡易宿泊所まで幅広く利用・転用可能な建築物を建てるという企画を提案しました。
※建物を木造・鉄骨造で建築して低層化することにより極力支出を抑えることができる一方、周辺のホテル(ホステル)・民泊・シェアオフィス・ワンルームマンションの稼働状況を考慮し、様々な利用用途に対応できるような仕様にし、賃貸住宅としての賃料収入や、簡易宿泊所としての売上により大幅な収入アップも見込めるため、負債を抱えるリスクを抑えつつ、安定した収入を得たいというお客様の意向に沿った企画であると考えました。
※ハイブリッド運用型建物イメージCG
新しい賃貸用物件を建てれば、相続発生時に課税対象となる資産の評価額が減少するため、相続税対策にもなります。
しかし、投資金額を抑えたものの建設による多額の借入をすること、及び、お客様が事業主になることに難色を示めされされました。
ホテル事業会社を誘致する企画
お客様が出来るだけ初期投資を極力抑えて確実に収益を上げることを求めている事、対象地で事業を企画する場合、お客様自身が事業者とはならず、第三者が事業者となる事を望んでいる事、事業を行う事業者が具体的に決定した上でなければ資金を投入する気がない事が分かりました。
お客様の考え方を踏まえてコンセプトの具現化を再検討し、具体的なホテル事業者を決めた上でホテル事業を誘致することが、最良の企画だと考えました。
上記のコンセプトをもとにホテル事業会社に売却中の北側隣接地を取得した上で(以前より隣接地取得にも興味を持っておられた経緯もあり)、現在所有する土地の一部と合わせてホテル事業会社に賃貸し、同社がホテルを開発して土地賃料収入を得る企画を提案しました。
上記企画を進める際に課題となる、敷地内賃貸用建物の賃借人の 明渡しの問題、アパート住人の立退き・解体費用の問題、さらにはホテル対象敷地の区割り問題等の解決策の具体的な検討に入りました。
しかし、結果的に土地の購入のための借入を敬遠する姿勢がみて取れました。その間に北側隣接地所有者が第三者の企業に北側隣接地を譲渡してしまいました。そこで一旦プロジェクトは頓挫してしまいました。
今回の新しい提案は、長期的に安定収入が得られるメリットや、高度利用による不動産価値の上昇等のメリットがあり、しかも土地を購入する際の借入金の残額は、相続時に「債務控除」の対象となり、定期借地契約が設定された土地の評価減と併せて相続税評価額が減額されます。お客様にとって非常に良い提案だったため簡単には諦められません。
収入増+αの新たな価値を創造した最終企画
自社の情報ネットワークをフル活用して、北側隣接地購入社は、その土地でホステル=簡易宿泊所を建設する計画であるという情報を掴みました。そこで、北側隣接地を取得した企業を巻き込んで新たな企画を組成出来ないか模索しました。
北側隣接地だけでは簡易宿泊所としてしか利用できません。より広い敷地であればホテル用地として利用可能となります。
そう考え、北側隣接地所有社に接触、同社の北側隣接地とお客様所有の土地一部を合わせてホテル用地として開発する可能性を探ることにしました。
まずは、ホテル開発の事業収支を策定すべく、建設するホテルの概要等を検討し、その結果を設計事務所に図面化してもらった上で、利用面積や建築面積を確認しました。(これをボリュームチエックといいます)この建設するホテルの概要等の検討及び図面化は、建築計画の基礎となる最初の図面であり非常に重要になり、ホテル運営・建築等の知識が必要となります。
次に、建築工事費、その他必要経費等を算出して、事業収支(プロジェクト収支)を計算しました。事業収支の計算を行う際も、例えば建設予定地周辺の市場調査を行い、適正なホテル室料などを設定することが必要になります。不動産(ホテル)開発・運営に関する知識や経験などが必須です。
北側隣接地所有社にお客様が所有する土地の一部と合わせてホテル用地として開発することが出来ないか打診しました。この提案を前向きに検討中であると連絡を頂きました。これを受けて、北側隣接地所有社がお客様所有の土地を借り受ける可能性も十分あると考え最後の企画、提案を行いました。
今回の企画はお客様は北側隣接地を購入しなくても、所有の土地の一部を隣地所有企業に貸すだけで長期に安定した借地料収入を得ることができ、お客様のご希望の月極駐車場・コインパーキングと自宅用の敷地が確保され、計画的かつ高度利用に整備されます。
これを受け、法的な課題についてお客様とともに弁護士と打合せを行い、契約形態、契約期間、賃料、更新料、譲渡承諾料等の賃貸条件を詰める作業を行いました。
そして、ホテルに敷地の一部を50年間賃貸する長期安定の契約内容が決定しました。
そうして完成した企画に沿って、関係する開発会社(デベロッパー)、設計事務所、運営会社、測量事務所等の専門業者とチームを組み、関係する法令や基準を遵守し、具体的な開発までの段取り・スケジュールを策定して進めていくことになりました。
他のチームのメンバーとも何度も協議を重ねながら、開発に向けた打ち合わせや段取り、スケジュールの調整を行いました。
ホテル建設に先立ち、賃貸対象地上の既存建物(自宅、民泊施設、アパート)を解体するとともに、駐車場を更地化する必要があり、ホテル建設の前に埋蔵文化財の試掘・本掘を行う必要もありましたので、利害関係者との調整やスケジューリングなどが不可欠でした。
以上の経緯を経て、お客様と企業側の土地賃貸借契約の内容の詳細が定まり、数カ月に及ぶ交渉・準備の末、契約を締結しました。
今回の不動産は、有効利用前は著しく不整形であった上、老朽化した民泊施設、自宅、納屋、アパート、及び平置き駐車場が無秩序に配置されているといった状態で、土地全体が計画的に活用されていない状況でした。
そのような状態にあった低稼働不動産を、計画的かつ効果的に有効活用すべく、複数の企画提案を行い、最終的に半分をホテル敷地及びその駐車場として賃貸し、残り半分を月極駐車場、コインパーキング、及びお客様の自宅等として利用するというものとなりました。
不動産は計画的に区画整理され、各区画が有効に利用できるようになり収益面でも賃貸借契約期間50年の間、継続的に従前の約2倍の利益が確保出来る様になりました。ホテルへの借地は相続税評価額も低くなり大きな減税効果も得られることになりました。
土地有効利用の企画提案と交渉・調整にて、企業側との共同利用により整備され、散在していた建物等も解体され、「賃貸に適した土地」が生まれました。しかも、ホテル敷地部分以外も、整備された広い駐車場として今まで以上に有効に利用出来るようになり、さらに収益を上げることが可能となりました。




